『燕三条 プレミアム家電メーカーを目指して』

野水 重明(ツインバード工業株式会社 代表取締役)

【講演要約】

野水 重明 氏

 祖父がメッキの下請けとして新潟県三条市に会社を創業して約70年弱、3代目として私が事業承継をしてから8年になります。現在はライフスタイル家電の企画、開発、製造、販売を行っております。売上高は約120億円弱、社員は300名ほどで、東証2部に上場しています。新潟の本社、4年前に取得した東京日本橋の自社ビル、その他札幌、名古屋、大阪、福岡に営業所がございます。また、8年前より中国の深センで、生産管理機能あるいは販売機能を持つ100%子会社を所有しています。
 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた1980〜90年にかけて、家電産業は、日本の経済を牽引する産業の1つとして世界で一番になりました。昨今は決して順風満帆な業界ではありませんが、私たちが主軸とする国内マーケット、あるいは海外マーケットでも成長していこうと考えています。ツインバードの強みは、小ロットあるいはスピード開発ができることで、社員の約2割が企画開発に従事しています。開発部と製造部が同じ敷地内にありますので、工場から開発設計、開発設計から工場と、独自のコミュニケーションの中で、スピーディーな製造あるいは変化に対応できるという特徴があります。新潟県の燕三条地域は、金属加工の街で知られております。私たちの周りには、約2000〜3000社の非常に技術力の高い素晴らしい工場が点在しており、こういった皆さんのものづくりの経営資源あるいはエコシステムが出来上がっている中で、私たちがプロデューサーとして最終製品を全国・世界に発信していくことが可能となっています。私たちは巨大工場を持っておらず、何千人もドクターの資格を持った社員がいるわけでもありません。中央研究所もございませんが、創業以来、この地域の中で社内に足りないリソースを外部の方と組みながら、ネットワークの中でものづくりをしてきたという経緯がございます。そういう意味では、シュリンクしていくマーケットの中でも収益性が確保できるというところが特徴という風に考えています。国内では人口の減少という厳しい問題がある一方で、国内外に目を向けると東京・大阪・ロンドン・パリなどの大都市は益々核家族化が進んでおります。いわゆる単独世帯の数あるいは比率が、当面まだ伸びると私たちは設定しています。また、女性の社会進出が続くことによって所得が増え、女性ユーザーをターゲットにした家電の需要も徐々に高まっていくと考えることができる、ピンチはチャンスだという風に考えております。  ツインバードには、三本の矢の成長戦略があります。まず1つが、オリジナリティあふれる差別化した製品の開発と共に、しっかりとしたブランドによる差別化。そして、ブランディングを進めながらも、流通だけでなく、直接お客様にお届けするダイレクトマーケティング、あるいはデジタルマーケティングに特化していくことが必要だと思っています。2つ目は、成長著しいアジアの開拓ですね。海外展開で、今一番注目しておりますのが人口14億人の中国で、日本製の美容家電をラインナップし販売をしております。ライフスタイルとか体験価値のようなものにお金を払ってくださるといった時代に変わってきており、そういった世界観をどうやって表現するかが家電製品には第一に求められると考えています。3つ目は、フリーピストン型のスターリング冷凍機です。リニアモーターで冷凍室を常温冷凍させ、中には非常に環境にやさしい安定化したヘリウムガスが入っております。特徴的なのが、共振現象を応用している点で、超省エネ設計になっております。製品レベルではマイナス100度まで数分で到達することができる、圧倒的な冷却能力を持つ冷凍機です。グローバル展開はまだ道半ばですけれども、2013年には日本のJAXAさんからご依頼いただいた宇宙冷蔵庫の開発をいたしました。今でも国際宇宙ステーションで、いろんな実験試料を保存するのに活用していただいております。実はこの国産クーラーがは、どちらかというと超大手企業さんが開発するようなビジネスモデルだと私たちは考えています。売上高が高々100億ちょっとの会社が10年くらいに亘って40億円以上の投資をしてきています。応用製品としては、ワクチンや研究開発中の薬などの医療運搬にお使いいただいております。家電製品と比べると一桁から二桁上の信頼性が求められますし、部品点数も非常に多いものですから、コストとしては非常に割高になっています。また、外気温がマイナス40〜50度になった時に性能が発揮できるかどうかを担保する必要があるジェット燃料などの試験用装置の一部にも私共の冷凍機が使用されています。  最近、社員教育に特に力を入れております。企業内大学ということで、若い人材をいかに育てて即戦力化するかということが、ビジネスモデルが大きく変革していく上で、全ての企業に求められる課題だなという風に思っております。中堅社員さんに教師になってもらいながら、自ら教えることによって共に成長していく、というところを狙いにしております。これからは0から1を生み出していかないといけない。イノベーションを起こしていかないと、企業として存続していくことが難しいと思っています。企業の存在意義と社員の人生の価値観を照らし合わせることが大事ですね。やはり自分が一生をかけて熱中できるような職種に就くということが、若者たちの力を引き出していく上で、とても大事なことなんだという風に考えています。
 最後に大切にしていることをお話ししたいと思います。失敗を糧にプラスチェンジしていくことです。私はいつも失敗したり困難に遭ったりすると、『ピンチはチャンス』自分が成長できるきっかけを神様が与えてくれたという風に頭を切り替えるようにしています。同じやり方を続けてもダメなんです。だから、思い切ってやり方を変えるしかない。『最も強い者が生き延びるのではなく、最も賢い者が生き延びるものでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である。』チャールズ・ダーウィンの言葉で、私の講演を締めくくらせていただきます。ありがとうございました。

【謝辞要約】

尾山宏輔 氏 (新潟中金ユース会副代表幹事)

 私は昔からツインバードさんのファンで、また新潟の企業ということで興味深くお話を聞かせていただきました。商品の中で最近気に入っているものはハンディ・クリーナーで、初めて電源を入れた時に、手を持っていかれるくらいモーターが動いて迫力があり、大変感動したのを覚えております。さらにフィルターの掃除が非常に楽で、痒いところにまでしっかり行き届いている商品で、愛用させていただいております。サーキュレーターなども大変静かで凄いと思いました。これからもツインバードさんらしい商品を常に作り、世に送り出し続けていただきたいと感じております。ツインバードさんの今後益々の発展と社員の方々のご健勝を祈念いたします。ありがとうございました。

商工中金全国ユース会